一眼(DSLR)動画撮影した際に、マイクで収録した音声のヒスノイズに困ったことはありませんか?
その原因と対策及び解決方法を前編、後編に分けてご紹介します。

前編ではそれぞれのケースの問題点と対策方法を。
後編では”IK Multimedia”「iRig PRE」という小型のマイクプリアンプにちょっとした改造を加えて使う方法をご紹介します。

動画撮影時の音声収録

一眼レフや、ミラーレスカメラで動画を撮る際に外部マイクを使用して音声を収録される方は多いと思いますが、使うカメラやマイクによっては、ものすごいヒスノイズが乗ってしまう場合があります。
良いマイクを使えばノイズが無くなるかと言えば、そう単純ではなく、おそらく音質は改善されるでしょうが、大抵の場合は、ノイズの原因は別のところにあります。

まずは動画撮影時の音声収録には、どういった機材を使用するケースがあるかを見ていきたいと思います。
そして、それぞれの問題点の対策を紹介していきます。

音声収録をするときの、使用機材

だいたい、以下の3パターンになると思います。
それぞれの特徴を簡単に説明していきます。

カメラの内臓マイクで録音。

カメラ本体のみで、外部マイクやレコーダ等を使わないケースです。
何も付け足すことなくカメラ本体のみで撮影するのでシンプルで手軽です。

しかし録音される音声は、決してよくありません。

カメラによってはヒスノイズが盛大にのってきますし、何よりも音源からマイクの距離が離れるために、その空間の残響を盛大に拾ってしまいます。

良く言えば臨場感、悪く言えば声が遠く響いて聴きづらいだけ。
音声の周波数バランスも偏りがあり、結果、安っぽい音声の出来上がりです。

音声が重要じゃない場合には手軽で良いですが、インタビュー撮影などで声をしっかりと録る必要があるならば、対策を検討しましょう。

外部マイクをカメラに接続して録音。

次に、ビデオカメラ用マイクなど、カメラに外部マイクを直接繋げて撮影するケースです。

小型のビデオカメラマイクを繋げるだけの手軽さなのに、カメラ本体だけで撮影してるときよりも格段に音質が改善できます。

このやりかたの良いところはやはり、手軽に音質改善できることに尽きます。

指向性の狭い小型のガンマイクを使えば、ピンポイントで口元を狙って声の収録ができますし、現場の臨場感を捉えたければ、ステレオマイクを使えます。

多くの場合は、カメラ上にマイクをマウントして、直接ケーブルをカメラのマイクインに接続するパターンかと思いますが、もしカメラを固定して撮影する場合なら、マイクケーブルを延長して、カメラから離して音源に近づけて設置することで、より、オンマイクな感じで収録も可能です。

また、マイクのアウトをカメラに入力して撮る(録る)ことになるので、編集時に映像と音声を合わせるという作業がありません。

(この後に説明する外部レコーダーを使用するパターンでは、この作業が伴ってきます。)

音質に関しては、当然ながらカメラ本体のマイクで収録するより断然に良くなります。

しかしながら、この場合もそのままカメラの入力に外部マイクを接続しただけでは、かなりのヒスノイズが乗ってしまうことがあります。

また、カメラに付いているマイク入力端子は殆どがミニジャックなので、直接接続するにはマイクもそれに合う小型のものに限定されてしまいます。

大きめのガンマイクや、ファンタム電源が必要になるようなコンデンサーマイクなどはダイレクトには使えません。

このケースでヒスノイズが気になる場合は、この後に書いてある対策を考えてみて下さい。

マイクを外部レコーダーに繋げてて録音する。

撮影が本格的になってくると、最終的に行き着くのがこのパターンです。

スタッフが大勢いるような撮影現場ではもちろんのこと、ワンマン撮影だとしても、もしマイク位置が固定できるような撮影なら、このやり方が良いでしょう。

例えば、インタビュー撮影など声を録る必要がある場合、ガンマイクを出来るだけ撮影対象者の近くで口元を狙ってセットしたり、あるいは小型のラベリアマイクを付けてもらって一緒に”ZOOM H1″のような小型レコーダもポケットに忍ばせてもらって録音するなんてこともよくやる手法です。

なにせ、カメラとマイクが離れる場合は、外部レコーダーを使うか、ワイヤレスセットを組み込むかしか選択肢がないわけです。

音のクオリティ的にもこのやり方がベストだと思いますが、このケースにもメリットとデメリットがあります。

メリット
  • 安いマイクとレコーダでも割りとしっかりとした音声収録が可能。

  • 様々なタイプのマイクからセレクト出来る。

  • 単体のレコーダーを使うので、録音レベル調整やモニタリングなど操作性が良い。

  • マルチチャンネル録音も可能。
    レコーダーによっては4〜8チャンネル、またはそれ以上を同時に録ることも可能。

デメリット
  • ワンマンオペレートで、レコーダーをカメラにマウントするとかさばる上に重くなってしまう。

  • 編集時に、撮影した映像と録音した音声を合わせる手間がある。

  • カメラで録画開始した時に、うっかりレコーダーの録音ボタンを押し忘れる可能性が無きにしもあらず。

と言った感じです。

ちなみに私はカメラの録画ボタンを押してなかった経験もあります(汗)

録画を止めたつもりでいるときに録画されてて、録画開始のときに録画ボタンを押すから録画が止まるという、恐ろしい経験もありますので、カメラもレコーダーもちゃんと回っているかはしっかり確認するようにしましょう。(と自分に言い聞かせてます。)

それぞれの問題点とその対策

はい、ということで、それぞれのケースにおいてのメリット、デメリット、問題点が見えてきましたので、ここからは対策方法を見ていきます。

カメラの内臓マイクの音質問題の対策方法

この場合、外部マイクを使うことで格段に音質がよくなりますので、まずはこのような小型のビデオカメラマイクを使うことをオススメします。

しかし、手軽さが重要でカメラ本体だけで撮影したいというなら、余り改善の余地はありません。
カメラのマイクのところに、ウインドゥスクリーン的なものを貼り付けて風切音を軽減するくらいでしょうか。

外部マイクを使うときのヒスノイズ対策方法

外部にビデオマイクを付けて、音質は良くなったけど、ノイズが結構あって困るという場合です。

このようにいくら良いマイクを使用したとしても、音声をカメラにインプットして録ることでヒスノイズがのってしまうことがあります。

結局のところ、この原因は何かというと、カメラ側でマイクの録音レベルを上げることで、ヒスノイズの音量も一緒に上がってしまうからです。
つまり、大抵の一眼カメラに内臓されているマイクプリアンプがノイジーなわけです。

念のために説明しますと、マイクで集音された音声というのは非常に小さい音量なので、アンプで増幅し録音してあげる必要があるわけですが、この場合はノイジーなカメラ内蔵のマイクプリアンプで増幅することになるのでそのノイズも一緒に増幅されてしまうわけです。

では、どうするか?

カメラで録音レベルを上げなくても済むように、カメラに入力する前に別のマイクプリアンプでゲインを上げておけばいいです。

まず、カメラの録音レベルを限りなく小さく設定しします。〔写真水色矢印)0から1ステップだけ上げた所。

次に、用意したマイクプリアンプにマイクを繋げます。

マイクプリアンプのラインアウトをカメラに入力します。
カメラのレベルメーターが十分に振れるくらいにマイクプリアンプ側でゲインを上げていきます。〔写真オレンジ矢印)

こうすることで、かなりヒスノイズを抑えることができます。
(もちろん、ココで使うプリアンプの質がノイズレベルに関わってきます。)

では、マイクプリアンプを繋げて使えば良いのはわかりましたが、一眼動画撮影で使えるものはどういったものがあるでしょうか?

実は、ちゃんとこのような用途で考えられている、バッテリー駆動の小型マイクプリアンプがあります。

特にこのJuiced Linkはかなり高品質のアンプが使われているのでかなりお薦めですが、それなりの値段がします。

juicedlink
beachtech

また、こういったマイクプリアンプをかまさずに、出力ゲインをブーストできる外部マイクを使うのも手です。
RODEの「VideoMicPro」はレベルを+20dB上げて出力できるので、カメラ側の録音レベルを絞ることが出来ます。

外部レコーダーを使う場合のデメリット解消方法

外部レコーダーを使う場合に挙げたデメリットですが、かさばる、重くなる以外は次の方法で回避することができます。

外部レコーダーはラインアウトの付いている機種を使用し、そのラインアウトからカメラのマイクインに繋ぎます。

これだけで、2つ目と3つ目のデメリットは解消です。

つまり、外部レコーダーに入力した音をカメラにも送って同時に録ってしまうことで、万が一、レコーダを回し忘れたとしてもカメラ側でも音声が録れており、なおかつ、編集時に映像と音声をガッチャンコする手間も省けるわけです。

願わくば、ブームマイク持って音声専門でやってくれるスタッフが居るのがベストではありますが、ワンマン、あるいは少人数撮影ではなかなか叶いませんね。

そして、そんな小規模撮影でカメラマンが音声マンも兼用しなければならないときに重宝するのが、ZOOMTASCAMのレコーダです。

zoom-h5
tascam-dr701d

今回のまとめ

今回の音声向上のための対策方法は、一般的なやり方をご紹介してきました。

撮影内容や撮影の規模によって、どのような機材を使うかは様々なので、自分の場合にどういったやり方があっているのかを検討していくのが良いかと思います。

後編では”IK Multimedia”「iRig PRE」という小型のマイクプリアンプをちょっとした改造を加えて使う方法をご紹介します。

これは、先程の

外部マイクを使うときのヒスノイズ対策方法」

で紹介したやり方ですが、Juiced Linkより、小さく、軽く、安く、済むため、ワンマンオペレートで考えるなら、「外部マイクを使う方法」と「外部レコーダーを使う方法」両者のいいとこ取りしたやり方とも言えます。

動画撮影時のマイク音声のヒスノイズ対策方法(後編)